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特集記事

Vol.111 -- 2009 年 07 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」

 第四回<友達が失業する>
   シリコンバレイの友人から、「自分のグループが無くなった」という電子メイルが届いた。彼女は半導体設計のグループマネジャー、私がはじめて会ったのは二十五年ほど前だった。そのとき彼女はシリコンバレイにある半導体の設計企業に年収三万ドルで働いていると言っていた。上海から来た時、自転車で成人英語クラスに通い、半導体のマスク設計の技術を習得したのだと言う。そして四、五年で中国人の上司と共に日本電気(NEC)に移る。ここでは、半導体設計の最終工程を検証するのが彼女の仕事で、多くは博士号をも持つ担当技術者の設計誤りも発見訂正させる。年俸は九万二千ドルになった。数年で不景気になり、今度は台湾系の新進半導体企業にグループマネジャーとして移り三年ぐらい働いていたが出資が切れたと言うことで閉店となった。また次の会社に年俸十万ドル以上で移り、今度はフラッシメモリがその企業の主製品だった。そしてまた三年、会社は彼女のグループを閉じることになった。私もシリコンバレイで五つの米国企業で働いたから、彼女の遍歴を珍しいとは思わない。
 フラッシメモリはデジタルカメラ、アイポッド、携帯電話などに幅広く使用されており、現在ではギガバイト(十億バイト)程度のデータを携帯するには、必須の電子部品になっている。フラッシメモリは二十年前のダイナミックラム(DRAM)同様に、毎年性能が飛躍的に向上する製品だ。当時から、ダイナミックラムの容量は高性能化するコンピュータの中央演算装置(CPU)に対応して増えつづけた。そして、PCや映像機器の市場の拡大と共に、需要が飛躍的に伸びた。半導体性能向上のための投資額はますます膨張している。新製品は市場に現われてごく短期間だけ高価格で売れるが、半年ぐらい経つと値段はどんどん下落する。半導体市場では供給過剰が繰り返される。ここが自動車と電気製品の市場価格の違いだ。性能が良い製品を作るには膨大な投資がかかり、製品が大量に売れないと元が取れない。一九七〇年代に四ミクロンだった半導体の線幅が、一部製品では現在千分の六十五ミクロンになっている。四十年かけて、六十分の一の寸法になったから、大雑把に言えば、半導体チップ一個あたりの面積は数千分の一になる。これが半導体の技術革新がもたらすコスト改革なのだ。
 シリコンバレイでは、一九七〇年頃から半導体関連企業が急速に成長し始めた。日本とちがい、米国のハイテク産業には労働組合は無いから、会社の景気が悪くなれば正規社員でも容易に解雇される。米国で労働組合が起こったのは、肉体労働者たちが賃金で不当に差別を受けたり、不当に解雇されたりすることを防ぐためだった。米国の労働組合は、業界別、職能別で我が国のような企業内組合は存在しない。業界別と言えば全米自動車労連や全米食品小売業労連など、職能別と言えば運送や港湾などである。これまで従業員の終身雇用をうたっていたIBMやHP(ヒュレットパッカード)も業績不振で大幅な組織変更や大量解雇を避ける事が出来なくなった。正規社員(パーマネントエンプロイー)と言う言葉は一九九五年にはもう聞かれなくなったように思う。私が働いた通信企業では、雇用の分類は従業員(エンプロイー)と契約者(契約社員、コントラクタ、コンサルタントなどと呼ぶ)であった。その違いは、従業員に対して会社は賃金と福利厚生を提供するが、契約者は時給賃金だけで福利厚生は無いことである。契約者は職場の損害保険は自分で買わなければならない。企業は従業員に対しても、日本のように交通費補助や住宅補助や家族手当などは支給しない。ボーナスが給与の一部だと言う事も無い。従業員にかかる福利厚生費用は賃金の四割位だと言われる。画像、ソフトウエア、通信、半導体分野に精通したハイテク技術者は契約者も多く、通常の従業員よりも高い賃金を稼ぐ事も多い。従業員と契約者とは日本であるような、じめじめした人間的差別を受ける事は現在は無い。

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