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特集記事

Vol.189 -- 2016 年 01 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」

第八十回 幸せ一杯で音楽会から帰宅

このところ、私は二週間に三つもの音楽会を聴きに行った。本日十二月十三日の音楽会の演奏は、日本人が好きな「ベルリンフィル」や「メトロポリタンオペラ」ではない。音楽会場は、「サントリーホール」や「東京オペラシティ」でもなく、大和市の「生涯学習センター」のホール、まさに、公民館のホールと言った感じだ。演奏団体は、結成されたばかりの「やまと国際オペラ協会」だった。歌手は二十一人、贅沢なことに、伴奏はオーケストラで楽器演奏者も同数、三時間目一杯の熱演だった。「やまと国際オペラ協会」はごく最近でき上がった音楽団体のようで、声楽ソリストと合唱団と最小限の楽団(弦楽は各パート一人の合計五人)だったが、舞台の大きさからすると、この程度の規模がちょうど良いように思えた。でも弦楽は目一杯弾いてがんばった。通常、声楽をオーケストラが伴奏すると、声楽が器楽の音量で消される傾向があるが、今回は声楽が十分聞こえた。弦楽器が少ないことに留意してそれ以外の楽器奏者が音量を抑えていた。

今回の演奏会で良かったのは、外国語の歌詞が日本訳と共に舞台の高い場所に投影されていたことだ。歌曲では「歌詞」を理解できなければ、作詞家や作曲家の意図は聴き手に伝わらない。歌曲は「歌詞」にこそ生命がある。「歌詞は原語に限る」と言われる理由は、「歌詞の音韻」が「訳詞」ではうまく伝わらないことが多いためである。四十年以上前に出来たこの会場、「生涯学習センター」のホールは、三分の二を埋める聴衆が集まった。来年は立派な音楽会場で演奏してもらえると市長は挨拶した。でも私には、この古い姿のホールの廊下にある白い手すりが付いた階段が愛らしく、いじらしく見える。このホールは老朽や災害基準に合格しない理由で取り壊されるのだろうが残念だ。

日本の社会教育施設
昭和三十五年(一九六〇年)ごろ、日本経済は高度成長期に入り、政府も社会教育行政に予算をつぎ込み始め、各地に公民館などの公共施設の建設が増えた。大和市の「生涯学習センター」は昭和三十九年に開所、昭和四十七年(一九七二年)に六百人収容の現在のホールが建った。「箱物王国ニッポン」では、日本人の「面子の精神」もあって、各自治体が競って音楽堂や美術館を、国も企業も厚生年金基金で保養所やスポーツ施設を次々と建てた。そしてついに一九八九年の加熱経済の崩壊で、既存の施設を維持補修する金が底をつき、利用者が激減した国の保養所などは叩き売られた。我家の近くにある厚生年金スポーツセンタも経営が行き詰まり、五、六年前に世田谷区が引受けることになった。箱物を作った建設企業は多大の利益を懐にしまいこみ、高めに設定された建設費は支配した政党へ献金されたらしい。高額の維持補修工事費は、後世に大きな経済的負担を残すこととなった。

日本の音楽会市場
今回の音楽会は、二つの地域団体の後援もあり、古い「生涯学習センター」ホールを地元の団体が主催したため、あの盛りだくさんな内容で千五百円だった。指揮者以下六名と四十名の声楽家や器楽奏者は、ほとんど勤労奉仕と言う大役を果たしたと思われる。今回は、出演者はかなり自腹、実際の入場券売り上げは数十万円くらいではなかったか。次回の演奏会が同じ規模で行われ、会場使用料を市と市の後援団体が出してくれたとしても、三千円くらいの入場料にしないと、出演者の労働条件はあまり変わらないだろう。ある宗教曲の音楽会では、三十人の合唱隊と三十人の団員の伴奏オーケストラに対して入場料は四千円、五百人ほどの入場者だった。この場合は入場券収入が二百万円ほどになる。それでも合唱団員は「切符何枚か自腹」で音楽会を開催することになる。昨今、大東京では「半ば趣味のクラシックのオーケストラ」の演奏会が余りにも多いので、入場券は千円にしても会場は一杯にはならない。それでも、練習場と演奏会場は最低五十名位の奏者を収容できる必要がある。

例えば、米国カリフォルニア州のシリコンバレイでは、音楽演奏団体が日本のように多くないことと、「半ば趣味的音楽活動」は、州や市町村の財政支援と個人や企業の寄付で支えられている。米国に次ぐ世界の金持ち国日本には、金持ちが大勢いる。今年こそ、より多くの日本の金持ちたちが、日本の文化活動や社会活動を支援してくれるよう祈りたい。これがより容易になるような税制度の整備も望まれる。

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